マンションのリフォーム

男の部屋

男の部屋とは、鎧を脱ぐところですな。。。
そして刀や槍を収納し、次の出陣に備えて、それらの武器の手入れをするところ。

一家団欒の居間にそんなものを脱ぎ捨てておくと、子どもたちが遊んで怪我をするだろうし、
第一僕なんか恐ろしくて家族の前で鎧を脱ぐことなんかできない。。。
職場に入るより、自宅玄関のドアを開けるときの方が緊張する。(笑)

テンションも高まっている。それなりの後ろめたさがあるからだけど、
そんな怪しげなことを一切してない、つまりこの数年にしても、
家族の前では僕は完全に油断し、リラックスすることができない。
自宅で心底くつろぐできる人をうらやましいと思う。

けれど、意地悪い言い方をすると、そんな人も実は自宅用の鎧に着替えているだけで、
スッポンポンにはならないんでしょう。。。
そして家族も、そんな夫、父親の姿は見たくないと思っている。

無防備で甘ったれの一家の主なんて気持ち悪いだけ。
男は自分の部屋に入ってはじめて本当の自分に戻ることができる。
演じているわけではないのだが、欠点、弱点を相手に容易に突かせないように備えている。
その構えを解くのである。

玄関先で携帯電話のダイヤルロックをして、自分の部屋に入って解除している。
繰り返すが、ここ数年やましいことはしていないのだが。。。

(中略)

千葉に建てたログハウスの工房に一切を運び込んで、そこが新たな楽園になった。
けれど遠い。さすがに月に1,2度しか出かけられない。

てことは、それぐらいしか僕は自分に戻ることができなくなってしまったということ。
これはもう、むちゃストレスがたまって、心ならずもつい家族に辛くあたることもあった。
家の中で鎧を着たままガチャガチャ動き回っているのだから、触れただけで傷ついてしまうのだ。

双方が音をあげ、ついに僕は自宅裏の一軒家を借りて自分のスペースを手に入れた。
山ほどの釣り道具やキャンプ用品、電動工具をいそいそと運び込んでる僕に、
妻が「別居するみたい」といった皮肉を三女が聞いていて、幼稚園の先生に報告したもので
知らないところでしばらく悪い噂が流れていたようだ。

「風呂、トイレ付きの部屋で、さぞ釣り道具たちは喜んでいることでしょうね」
なんて言い方していた妻も、連日の僕のご機嫌と、思いのほか自宅が片づいたので、
やがて文句を言わないようになった。

今は集魚剤の研究をしているので、臭くて子どもたちも遊びに来なくなって、ますます理想的。
男の部屋は安らぎ、蘇生、生産、決断のスペースですな。

(By 清水國明)

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